ロンドン在住通訳の平松里英(rielondon)です。

英語のニュースなどで10 Downing Street というフレーズを耳にしたことはありませんか?
これはダウニング街10番地、つまり英首相官邸の所在地ですが、首相官邸のことを指してナンバー10(テン)などとも呼ばれます。

今日は、この首相官邸についてお話しします。

今年、仕事で首相官邸内に入らせていただきました。事前に許可を得ていないと入れないため、こういう機会に恵まれることはなかなかありません。そのため、前日から「どんな感じなんだろう?」とちょっとワクワクしていました。
さて、このダイニング街、Streetというだけあって「通り」なのですが、以前は車も人も普通に通行できたそうです。
現在は通りの両側に鉄格子が設けられ、警官が警備しています。
80年代にはIRAによる度重なる爆破事件が起き、それを警戒して鉄格子が取り付けられたそうです。
そうして策を設けて警備されるようになるまでは、他の通りと同じように往来できたというのですから驚きです。
鉄格子の柵を通されると、空港にあるようなセキュリティチェックがあります。
身分証明書を提示し、カバンをチェックされ、金属探知機をくぐって、向こう側に出ると、首相官邸の玄関口があります。
上の写真にあるとおり、金色の10番地の文字がついた扉があり「なるほど~、ここがよくテレビで見る場所か」と思いました。
そうして係の人に促され、玄関を入ると、携帯電話を預けるように言われます。そこから先は携帯電話の持ち込みは禁止。
面白かったのは、携帯電話を預けておくため専用の棚があること。
わりと年季の入った感のある、100台以上は優に収納できると思われるこの棚。
そこに携帯電話を置き、控えの番号札を持って進みます。

ほら、傘を預ける時に控えの番号が付いたキーをもらいますよね、あれとよく似ています。

先ほど「なかなかこういう機会はない」と言いましたが、じつはダウニング街の通りの中に入るのは今年2回目。
というのも、毎年6月、俗にいう「女王の誕生日パレード」(正式には軍旗敬礼分裂式)を観に行くのですが、今回は取れた席がダウニング街側だったので、割り振られていた出入り口が首相官邸とWar Room(作戦指令室)の間にある通路を通ってホース・ガーズ・パレードまでアクセスするというルートだったからです。
それでも官邸の「中」に入るのは、これが初めて。
 
さぞかし豪華な作りになっているのかと思いきや、ウェストミンスター地区のお役所と変わらず、実際は想像よりも質素でした。
とは言っても、きっと首相ご家族の居住エリアはその限りではないと思いますが…。映画『ラブアクチャリー』の官邸シーン。特に階段は今もあんな感じ。(壁の色が違った気がするけれど。)
そもそも、なぜ官邸に行ったかというと、内閣府との会議の通訳の仕事があったからですが、内閣府は指示命令系統が首相直属で、官邸内で勤務している人たちがいます。
当然、首相官邸の建物の中に会議室があり、様々な打ち合わせや会議が行われるわけです。
向こうの部屋には首相がいてこちらの物音が聞こえているのだろうか?とか、一人で心密かに気にしながらも、会議は滞りなく終了。
その後、敷地内を案内してもらいましたが、歴代の首相の肖像画が階段の壁にずらりと並んでおり、チャーチル元首相の有名な肖像画を見たときには、さすがに「おお…!」と、うなってしまいました。
歴史の教科書で見た、あの肖像画の本物(!!)が目の前にあるなんて…。
すぐには実感できませんでした。(歴史の教科書、というのがまたショボいですね。失礼)
———————————————————————————
ところで、上の写真、なんでキツネが写ってるの?と不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれませんね。
今年の1月、キツネが塀の中に迷い込むという珍事件があったのですが、その時のキツネの姿をとらえたものです。猫も通ることがあるようです。もっとも飼い猫のLarry君は「ネズミ捕獲長」ですから通るというよりも、ここがお住まいなんですね。
今でこそ人も車も自由に通れなくなりましたが、動物ならまだ自由に通ることができるのかも?