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ロンドン在住通訳者の平松里英(rielondon)です。
前回の記事で掲載させていただいた対訳リスト(下方にもあります)ですが、
すでにお気づきの方もいらっしゃることとおもいますが、
そうです。 「日本語(原語)が短いのに、対訳の英語がうんと長い」 のです。
それは主に、対訳の英語が「お茶請け」など語の説明になっているからですが、それは、たとえ日本ではおなじみのコンセプトでも、外国ではまったく馴染みがないからです。
同様に、イギリスではおなじみでも、日本ではまったく馴染みのないことはたくさんあります。
(はっきり言って、そんなもの「だらけ」だと思います。)
だから、訳出が説明を伴っていないと、聞いている人は何のことだか理解できないのですね。
「足さない、引かない」というフレーズをご存知でしょうか。
原文や原発言に対して、訳すときに足すことも(Addition)、引くことも(Omission)、曲げること(Distortion)もしないこと。翻訳でも通訳でも、重要な指針です。
米原万理氏の著書『不実な美女か、貞淑な醜女か』というタイトルにもあるように、アウトプットがoriginalに忠実かどうか云々は永遠のテーマですね。
なぜこの話を出したかというと、これは足したことにはならないと思うからです。
表面的に言葉を置き換えても「通じない」。
そして、通じなければ意味がないわけですから。
(詳しくはセレスコビッチ(Seleskovitch)の「意味の理論(the Theory of Sense a.k.a. the Interpretive Theory of Translation)」を参照)
お茶請け Ochauke – snack to go with tea like teacakes
上生菓子 high-grade Japanese fresh/wet confections
主菓子 Omogashi – main sweets (wet sweets)
打ち物 Uchimono – malded dry confectionery
自然薯 wild yam
和三盆 Wasanbon sugar – Japanese traditional refined sugar that is very sought   after
生砂糖(きざと) raw sugar
おうす (a) weak infusion of powdered tea
落雁 dry confection of startch, soy etc. pressed into a pattern
求肥 sweetened mochi
栗きんとん mashed sweet potatoes with sweetened chestnuts
おしるこ sweet soup like food made with Azuki beans
最中の皮 delicate and crispy sweet rice crackers
丹念に carefully / with great care
刻む carve / chisel / mince / finely chop
練る knead / temper
漉す purée /mash and filter out impurities
煮詰める simmer away / reduce / concentrate
見て楽しむ enjoy viewing / watching
詫び寂び aesthetic sense in Japanese art emphasising quiet simplicity, called WabiSabi
研鑽を積む devote oneself to their [study] for many years
などなど…。
それから、上の表ですが、スラッシュで区切ったものは「このうちどれでもいい」ということではなく「context  (文脈)に合わせて随時選択」するというつもりで訳語を出してあります。
各単語(英語)の意味やニュアンスが異なるので。
 
「突貫工事の対訳」では当然納得がいかず、後日「練り直した」ものもあります。
※上に載せたものは練り直したものではありません。
 
例えば「求肥(ぎゅうひ)」がそれですが、「sweetened mochi かぁ、甘くした餅」じゃあピンとこないなぁ、と。
うんうん言っていると、ひらめきました!ちょうどイギリスには似ているものがあることに気づいたのです。Turkish Delight というお菓子です(トップの写真)
求肥(Gyuhi) の Wikipedia (https://en.wikipedia.org/wiki/Gy%C5%ABhi) の説明(英文)も参考にして…
“Gyuhi – a softer variety of mochi, which is made from either glutinous rice or its flour, similar to Turkish Delight”   
…と、ここまで言う時間的余裕があればいいですが。
逐次ならともかく、同時通訳なら無理だろうなぁ。
もし、自分がここで同時通訳だったら、瞬時にどう対応するか。
悩みは尽きません。
というわけで、今回はこの辺で。
お読みいただきありがとうございました。