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ロンドン在住の通訳者平松里英のブログ

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2017年ダボス会議 中国は国家主席が初出席、ドイツは今年も欠席

習国家主席とダボス会議

習国家主席とダボス会議

 

ロンドン在住日英通訳者の平松里英(rielondon)です。今回は中国は初の国家主席が参加、その反対にドイツやフランスなど西側諸国の首脳クラスは欠席という今年のダボス会議を取り上げます。「気になる英語表現」は最後にあります。

【今日のニュース素材】 “Xi to be first Chinese leader to attend Davos World Economic Forum(10 Jan, 2017 Reuters)

【ざっくりサマリー】
✔ 今回の「ダボス会議」では初めて中国の国家主席が出席
✔ 中国の狙い
✔ ドイツ、フランスなど欠席

1月17日から始まる2017年ダボス会議

今回は1月17日から20日まで開催される2017年世界経済フォーラム(通称 ダボス会議)について取り上げます。

同記事では、

ダボスで開かれる世界経済フォーラム、今年はグローバリゼーションに対する大衆の怒りの増大と米大統領就任間近のドナルド・トランプ政権について重点を置く
the World Economic Forum (WEF) in Davos, which this year will dwell on the rising public anger with globalization and the coming U.S. presidency of Donald Trump.

とはっきりと書かれているように、1月20日のトランプ米大統領就任を目前に控え、各国指導者、企業のリーダー、そして市民も、全員が「焦点がブレないように」「惑わされないように」各人が意識的に取り組み、努力していくことの重要性を世界に呼びかけていくのでしょう。

中国習近平国家主席がダボス会議に初出席

中国は1979年からダボス会議に出席しており、これまでは「序列2位の首相どまり」であったが、今回は序列1位の国家主席が出席する模様。 スイス滞在は15日~18日でジュネーブの国連事務局や世界保健機関(WHO)、国際オリンピック委員会(IOC)を訪問する予定だとか。

中国として今回のダボス会議の主役を取りに行く恰好だ。

Xi will take centre stage at the Jan. 17-20 forum with China presenting itself as a champion of globalization.

主席はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉からの撤退を表明しているトランプ次期大統領が決定した米大統領選の数日後に行われたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で、保護主義への反対を強調。
Xi led a forum of Asia-Pacific leaders in Peru in November in vowing to fight protectionism, just days after Trump won the U.S. election having pledged to pull out of the 12-nation Trans-Pacific Partnership (TPP) trade deal.

中国の希求する全世界の経済秩序の形成」を標榜する中国は、2014年北京のAPECでFTAAPの早期実現を唱えた際に日本・アメリカは難色を示した(と認識)しており、オバマ大統領はTPP構想の実現に積極的であるが「この点においては中国と一線を引いて」おり「中国はアメリカを中国側に引き寄せる」ことができなかった。 (Newsweekジャパン「ペルーAPECで習主席FTAAP強調―北京ロードマップ

」)

中国はこれまでも貿易における市場へのアクセスがない、中国に対する保護主義的な施策だと批判的であった。製造強国を目指した「2025年メイド・イン・チャイナ」計画 [今後十年における製造業の発展のロードマップとして2015年に発表] では最先端のIT技術やロボット技術を含む分野での国内製造を革新的に推進することを示している。
Foreign businesses in China, however, have long complained about a lack of market access and protectionist Chinese policies. These include a Made in China 2025 plan that calls for a progressive increase in domestic components in sectors such as advanced information technology and robotics.

世界の指導者や財界人が集まるダボスで、中国は存在感を示し、トランプ氏が就任する前の実質アメリカ不在の数日間だけでも先に交渉を進めることでトランプを牽制するつもりなのでしょうか。

そして、昨年からの西側の乱れを逆手に取り、ドイツ(メルケル首相)が逆境で足踏みをしているうちに駒を進めたい、という思惑なのでしょうか…。

2017年ダボス会議 ドイツ、フランスなど欠席

3000名に上る参加者には、各国首脳、中央銀行、企業約1000社から約1800名の経営者層が含まれるが、常連のドイツのメルケル首相は昨年に引き続き欠席。フランスのオランド大統領も今回は欠席。カナダのトルドー首相欧州委員会のユンケル委員長も欠席です。

いずれも米大統領就任を目前にトランプ氏と会うことになるのを避けていることと、議論の中心が大衆の増大する怒りと不均衡、そしてトランプ氏になるということですから、ここで発言するわけにはいかない、というのも宜(むべ)なるかな。

イギリスのEU離脱投票とトランプ当選は政治的既成勢力とグローバリゼーションに対する増大する大衆の怒りが原因であり、指導者たちは世界のエリートが集まる豪華なスキーリゾートで開かれる会議とは言え、二の足を踏んでいる。
“But after the Brexit vote in Britain and the election of Trump were attributed to rising public anger with the political establishment and globalisation, leaders may be more reluctant than usual to travel to a conference at a plush ski resort that has become synonymous with the global elite.” (Daily Mail “Germany’s Merkel to skip Davos on eve of Trump presidency” )

2017年ダボス会議 アメリカからは誰が出席するのか

アメリカはバイデン副大統領ケリー国務長官が出席するが、フォーラムの数日後に退任というタイミングでの出席は同会議の主催者シュワブ氏によれば「引継ぎ中のチームから新体制(トランプ政権)を代表して来る」とのことで、交代する前に引き継いでおきたいことを伝えに来るということでしょう。

ダボス会議、今回のテーマは?

1月7日~20日にかけて行われる世界経済フォーラム(World Economic Forum)通称「ダボス会議」。

今回のテーマは“Responsive and Responsible Leadership(敏感で責任あるリーダーシップ)”

昨年のダボス会議のテーマは 「第四次産業革命(The Fourth Industrial Revolution)」で、

その速度、システムにおける影響。現在の大躍進は歴史に前例のないスピードで起こっている。

“velocity, scope, and systems impact. The speed of current breakthroughs has no historical precedent.”

AI(人工知能)が人間を超える日、自動運転車は車の未来をどう変えるか、3Dプリンターは製造業を破壊するか、各超現実や人間とコンピューターの融合は世界をどう変えるか、といったエリアについてさまざまなディスカッションがなされました。

それに対し、今回のテーマを“Responsive and Responsible Leadership(敏感で責任あるリーダーシップ)”としている。

その背景は、シュワブ氏による”Five leadership priorities for 2017”  のなかで触れられている以下の文章からわかります。

昨年起きたことからもわかるように、リーダー(指導者)たちは役割を任せてくれている人々の求めることにResponsive(敏感)でなければならず、ビジョンを示し進む方向を示しながら、人々がより良い未来を思い描けるようにしなければなりません。

As the past year has demonstrated, leaders must be responsive to the demands of the people who have entrusted them to lead, while also providing a vision and a way forward, so that people can imagine a better future.

第4次産業革命をしっかりと把握しながら、AI、モノのインターネット、自動運転車、3D印刷、ナノテクノロジー、量子計算といった分野における進歩によってもたらされる劇的な変化を見据えて各種産業を再定義し、一から新しいものを作り出す力が指導者には求められるのです。

Firstly, they will have to come to grips with the Fourth Industrial Revolution, which is redefining entire industries, and creating new ones from scratch, owing to groundbreaking advances in artificial intelligence, robotics, the Internet of Things, self-driving vehicles, 3D-printing, nanotechnology, biotechnology, and quantum computing.

そこにあるメッセージは、

リーダーたちは進むべき方向を見失ってはいけません、すなわち真の価値観に根差した力強いビジョンから逸脱してはいけないということなのです。

They must never deviate from their true north, which is to say, a strong vision based on authentic values.

 

という言葉に集約されているように感じました。

 

《注目の英語表現》

  • dwell  重点を置く
  • take centre stage at  主役を取りに行く
  • political establishment  政治的既成勢力
  • plush  豪華な (もともとはビロードのプラシ天のことで、俗に豪華・贅沢品を意味する)
  • responsive  要求に対応する、反応が早い、頻繁に反応する
  • responsible  責任ある、責任能力がある
  • no historical precedent  歴史的前例のない
  • true north  進むべき方向

 

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国連事務総長 就任「2017年を平和の年に」演説

Appeal for Peace 01.01.2017

ロンドン在住日英通訳者の平松里英(rielondon)です。今回は 国連事務総長正式就任2017年年初の演説 を取り上げます。「気になる英語表現」は最後にあります。

 

【今日取り上げるニュースメディア】

UN News Centre New UN chief Guterres pledges to make 2017 ‘a year for peace’

【ざっくりサマリー】

✔ 新 国連事務総長にポルトガルのグテーレス氏が正式に就任

✔ 年初の演説で「2017年を平和の年に」と訴え

✔ 次期 国連事務総長に決まったのは2016年10月13日

✔ 任期は5年後の2021年12月31日まで

✔ グテーレス氏の略歴

2017年1月1日 新 国連 事務総長の正式就任

2017年元旦、第9代 国際連合事務総長にアントニオ・グテーレス(António Guterres)氏が国連総会(the UN General Assembly)にて正式に就任しました。

「これまでは安全保障理事会が候補を一人に絞り、この唯一の候補のみが国連総会に提案されていました。安全保障理事会でのいわゆる密室の協議で事実上決定されていたため、選出プロセスの閉鎖性に批判が集まっていました。」(http://www.unic.or.jp/news_press/info/18566/)

これを受け、2016年4月には国連初の試みとなる公開面談が行われ、10月に初めに国連安全保障理事会(the UN Security Council)が国連総会に勧告し、就任が確定しました。

そして、就任宣誓式(swearing in – ceremony)が12月12日でした。

激震の2016年、2017年は?

「一年の計は元旦にあり」

暗澹たる、そして激動・激震の2016年が幕を閉じ、続く新年の幕開けでの交代だけあって、

2017年を方向づける幸先の良い出発だったと、後で振り返れるよう願わずにはいられません。

国連事務総長の任期

さて、グテーレス新事務総長(Secretary-General)は1995年から2002年までポルトガルの首相を務め、

2005年から2015年までは国連難民高等弁務官(the UN High Commissioner for Refugees )として様々な活動に従事。国連事務総長の任期は5年なので、2021年末までということになります。

なお、第8代の国連事務総長 藩基文氏の任期は2007年から2016年までの10年間(つまり5年任期を2期)でした。

これまでは、近年では、第6代事務総長 エジプトのブトロス・ブトロス-ガーリ氏が、アメリカが再選に際し拒否権を発動したため5年で退任した以外は、第7代 コフィ・アナン氏、第5代 ハビエル・ペレス・デクエヤル氏も2期(10年)務めています。

事務総長による新年のスピーチ全文

新事務総長は新年の抱負として、“Peace must be our goal and our guide” と述べ、2017年を平和に向けた年とするようすべての市民、各国政府、指導者たち(all citizens, governments and leaders)に向けて様々な相違を超える努力をするよう(to strive to overcome differences)訴えました。

2017年1月1日 国連事務総長スピーチ 平和への訴え -全文-(Appeal for peace from UN Secretary-General Antonio Guterres)

他メディアの関連ニュース

2016年10月13日のCNNニュース「国連がポルトガルのアントニオ・グテーレス氏を次期事務総長承認 (UN approves Portugal’s Antonio Guterres as next secretary-general)

では、10月5日に逃げ切りの最有力候補as the Security Council’s runaway favorite)となっていた氏を193加盟国の全会一致で次期事務総長となることを承認したと報道されています。

どんな国連事務総長になるでしょうか。

2016年10月6日のBBCニュース 「グテーレス氏とは誰なのか。次期国連事務総長の人物像 (Who is Antonio Guterres? Meet the UN’s next secretary-general)」では、

グテーレス氏は副事務総長に女性を起用すると予想されます。「男女共同参画」の国連における重要性を説いてきたからです。

He is widely expected to select a woman as deputy secretary-general, having said that “gender parity” is crucial at the United Nations.

とあり、

ヨーロッパ外交評議会の研究員、リチャード・ゴワン氏によれば、内部関係者はポルトガル出身のグテーレス氏が「国連に必要な『尻叩き』をしてくれるのではないか」と話している、とのこと。

Richard Gowan, a UN expert at the European Council on Foreign Relations, said insiders believed Mr Guterres, from Portugal, “could give the UN the kind of kick up the backside it needs”.

グテーレス氏の背景

グテーレス氏は、50年余り続いたポルトガルの独裁政治が終焉した1974年に社会党に入党し、間もなく専従の政治家になりました。[それ以前は大学で電気工学と物理を勉強し助教授をしていた。]

He joined the Socialist party in 1974 – the same year five decades of dictatorship came to an end in Portugal – and soon became a full-time politician.

 

1995年には社会党の書記長に就任、のちに首相に就任し2002年まで務めました。

In 1995, three years after being elected the Socialist Party’s secretary-general, he was voted in as prime minister, a position he held until 2002.

 

今回の国連事務総長の指名前のUNHCR(国連難民高等弁務官)としての経験が今回の人事への試金石(=意訳)となりました。

Prior to his nomination, he said that his work at the UNHCR had been excellent preparation for a secretary-general.

第9代 国連事務総長の役割

事務総長の役割(The role of the Secretary-General)」に、以下のように記されています(抜粋)。

立場が対等な外交家であり唱道者であり、公務員であり、CEOである、事務総長は国連の理想の早朝であり世界の人々、なかでも特に貧しく弱い人々の利害における代弁者である。

Equal parts diplomat and advocate, civil servant and CEO, the Secretary-General is a symbol of United Nations ideals and a spokesman for the interests of the world’s peoples, in particular the poor and vulnerable among them.

 

《注目の英語表現》

  • The UN Security Council  国連安全保障理事会
  • The UN General Assembly  国連総会
  • gender parity  男女同権、男女共同参画
  • at the helm of the United Nations  国連の舵取り役に当たり
  • civilians are pounded with deadly force  市民が致死性の高い武力で猛攻撃を受けている
  • forced from their homes, dispossessed and destitute  家を追われ、貧窮しており
  • fueling cycles of mistrust and fear that can last for generations  不信と不安の循環のエネルギーとなって何世代nにも続く可能性がある
  • peace must be our goal and our guide  平和が私たちの目標であり、手引きでなくてはならない
  • I appeal to you all  懇願する(切に訴える)
  • equal parts diplomat and advocate  立場が対等な外交家であり唱道者
  • the poor and vulnerable  貧しく弱い立場にある人々

 

今年最初の記事は1月1日のグテーレス氏のスピーチの中から、次のことばで締めくくろうと思います。

それではまた!

 

“all that we strive for as a human family […] depends on peace.

人類 として私たちが尽力することのすべては平和にかかっています。

But peace depends on us.”

ところが、平和は私たちにかかっているのです。

 

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▶ 関連記事 国際連合広報センター「この人に聞く:次期国連事務総長に任命されたアントニオ・グテーレス氏」

 

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