I INTERPRET LONDON

ロンドン在住の通訳者平松里英のブログ

Tag: ロンドン (page 1 of 2)

国際女性デー Vol.1

ロンドン在住通訳者の平松里英(rielondon)です。

3月8日は国際女性デー。

カナダのトルドー首相 ソフィー夫人SNS炎上

カナダのトルドー首相夫人がインスタグラムで人々に訴えた内容が、炎上したそうです。
ソフィー夫人のインスタグラムの当該投稿リンク

国際女性デーは、女性を支えてくれる自分の「同盟相手」の男性も祝福しよう、
つまり、ジェンダー平等を一緒に推し進めてくれる男子、男性も取り上げるべきだ、
ということのようです。

以下、カナダのガーディアン紙(英語記事)

彼女の提言については、意見が二つに割れています。
インスタグラムの彼女の投稿に寄せられたコメントのいくつかを挙げてみます。

“Embarrassing. She doesn’t get it.”
恥ずかしい。この人、全然わかってない。

 

“I am not a woman unless I have a man. Thank you for reminding me.”
男がいなければ私は女じゃないってことね。思い出させてくれてありがとう。[皮肉]

 

“Celebrating #iwd2017 by celebrating men. Nope, try again.”
男性を祝福して♯iwd2017(国際女性デー)を祝いましょう。ありえない。はい、やり直し。

 

“She wants IWD to be a celebration of Justin Trudeau. She should be celebrating the powerful women in her life!”
IWDを夫、ジャスティン・トルドーを祝う日にしたいだけでしょ。[そうじゃなくて]自分の人生で出会ったり、関わったりしたパワフルな女性たちを祝福するべきでしょ!

私は、基本的に、ソフィー夫人の考えに賛成です。

ただ、国際女性デーには、女性を称えるべきだという主張は、たしかに一理あると思います。

そもそも「国際女性デー」って何?

ここで、国際女性デーって、どういうものなのか、
どういう日なのか、見てみましょう。

国連女性機関の日本事務所のウェブサイトによると

国際女性デー(IWD)とは

国連は、1975年の国際婦人年において、3月8日を国際女性デー(IWD)として定めました。そして2年後の1977年12月、国連総会は、加盟国がそれぞれの歴史と伝統に応じて、1年のうち1日を女性の権利及び国際平和のための国連の日と宣言できる決議を採択しました。

国際女性デーは、20世紀への変わり目に、北アメリカおよびヨーロッパ各地での労働運動から始まりました。このような初期の時代から、国際女性デーは、先進国及び途上国ともに、女性のための新しいグローバルな姿をとりあげてきました。この成長し続ける国際的女性運動は、4つの世界的な国連の女性会議によって強化されています。 そして、女性の権利、及び政治・経済活動の場への女性参画をサポートする結集の場を記念する国際女性デーを支援しています。

国際女性デーは、これまでの前進を振り返り、変革を呼びかけ、国や社会の歴史上すばらしい役割を果たした一般の女性たちの勇気と決断を称える日です。

とあります。

国際女性デーの起源

では、国際女性デーの起源は?というと、アメリカやヨーロッパ各地で起きた徐栄による労働運動です。
1900年代のアメリカのニューヨークで服飾工場の女性労働者が起こした抗議運動や、
イギリスで起きた女性参政権(ちなみに参政権は Suffrage)運動など。

これら、女性による一連の社会運動や抗議デモ、その不屈の精神を称え、
同時に、未だ被害者となる女性が後を絶たないことに、真剣に思いを馳せる日なのです。

イギリス女性参政権論者「サフラジェット」

イギリスの女性参政権を訴え戦ったメンバー(闘士たち)はSuffragetteと呼ばれました。

ちなみに、2015年にはそのままの名称 “Suffragette” で映画になりましたね。
(邦題『未来を花束にして』) ←まったく「婦人参政権論者」ということが伝わってこないタイトル(悩)

  • 映画 “Suffragette” 公式予告 YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=056FI2Pq9RY)

ハンガーストライキなど、壮絶な抵抗運動を続け、
イギリスで婦人参政権が認められたのは1918年。

イギリス|女性だけじゃない、男性にも参政権がなかった。

1918年の選挙法改正。
この時、初めてイギリスで普通選挙制が実現したのです。

21歳以上の男子と30歳以上の女性に選挙権が認められました
つまり、これまではイギリスには普通選挙制がなかったということです。

Before 1918, the vote was restricted not simply by sex but also by property qualifications.
1918年までは投票は制によって制限されるだけでなく、財産資格によっても制限されていた。

出典:“Why has everyone forgotten about male suffrage?” (どうして誰も男性の参政権について覚えていないのだろうか?)

婦人参政権と聞くと 男性にはもともと参政権があった かのように思ってしまいますが、そうではありません。

女性だけでなく、男性も限られた人(資産家)しか、選挙権が与えられていなかったのです。

 

ところで、

世界で初めて婦人参政権を認めた国はどこでしょう?

 

 

 

それは、アメリカでも、イギリスでもなく、

ニュージーランド。

 

ニュージーランドでは、1893年に女性参政権を実現。

イギリスで普通選挙制が認められる25年前。

つまり、四半世紀も前に、すでに、

遠く離れた南半球の島国、ニュージーランドには女性に選挙権があった!

 

同じ島国でも、ジェンダーにおける進歩が随分と違いますな(ため息)。

 

そこに裏打ちされているケイト・シェパードの精神

All that separates, whether of race, class, creed, or sex, is inhuman, and must be overcome.
道徳心の向上には人種、階級、信条、性別による分離を克服しなければならない。

 

すばらしい信念ではありませんか!

 

アメリカ、そして欧州でもポピュリズムが台頭してきて、

大衆迎合主義、右傾化、孤立主義、分離…

 

これまでの価値観や戦いに逆行するような動きをバッサリと切り捨てるこの考え方。

いいねぇ!ああ、スッキリ。

 

イングランドはリバプール出身のケイト・シェパード。

彼女の女性参政権運動の指導の下、
何度も議会に請願書を提出した末、1893年に可決されたのです。

こういった土壌があるからでしょうか。
男女の賃金格差は、アメリカよりも、ニュージーランドのほうが小さいのです。

 

ちなみに、

日本は世界ワースト3入り(3位)。
女性が管理職に占める割合は先進国中(ここではG7)、堂々の最下位

出典:Global Gender Gap Report 2016(世界経済フォーラム2016)

 

でも、悪口(笑)ばかりではありませんよw

先日、とても励みになる素晴らしい発言を発見。

世の中の半分は女性なのに、マネジメント層は男性ばかり。

優秀な人は男女を問わず優秀。これでは片翼しか使わずに飛行しているようなもの。

企業が成長できるわけがない。

 

ポイントはある。1つは、トップがはっきりコミットする。さらに数字でコミットすること。登用は上からやる。下級の管理職から細々とやるのではなく、上級管理職を早く女性にすれば、あとは早い。

これ、カルビーの松本社長のコメントです。

 

私から見たら、当たり前であるべき、合理的で、シンプルな話なのですが、

なぜ、こんなに男女参画だ、ジェンダー平等だというと、難しいのでしょうかね。

 

男性にとことん不都合な事でもあるんでしょうか…?

 

そういえば、うちは夕飯はほぼ毎日夫が作りますし、掃除も洗濯もやります。

(難しいことでもあるまいし、こんなことを記述しているのが、馬鹿らしい…)

「家事ができる夫の方が離婚率が高いらしい、なんでかな。」

と言っていたので、お互いが独立しているから別れる時も迷いが減るのよ、きっと。

夫が家事ができるのが悪いのではなくて、お互いが共依存度が低い証拠でしょう?と。

夫が家事ができる、そして実際に家事を負担する。

↑気が向いたときだけということも大いにあり得るので「できること」と実際に「やる」かどうかは別。

これは、

悪いことではなくて、良いことです。

大人ですからね。

 

お互いがしっかり自立して、尚且つ、支えあったり補い合えるほうが、

お互いに頼りあって、共倒れしてしまうより良いと思います。

 

名古屋の国際女性デー(IWD)イベント参加(昔)

考えてみると、イギリスに移って来てから、
つまり、もう10年もこの日を記念する活動やイベントには参加していないことになります。

日本にいた頃、
アイルランド留学よりも前ですから、20年近く前になるのですが、
地元の名古屋で、国際女性デーの活動に参加していた時期がありました。

その頃に仲良くしていた近所のイギリス人の友だちに誘われ、
集会に行ったのがきっかけでした。

私が参加した国際女性デーの活動。

そこではオーストラリア人女性のイベントのリーダー、
日本人の中心的役割を担っていた女性たちに、
アメリカ人の女性留学生や英語教師の面々など。

当日は、フレンドリーなパレードもしました。

詳しくは後日、Vol.2、Vol.3に続きます。

(つづく)

 

ご質問、コメント、そしてご相談も大歓迎です。コメント欄、お問い合わせページ、またはTwitter からどうぞ。

この機会に、ぜひ読者登録してみてくださいね。

イギリス、ヨーロッパ地域の現地通訳をお探しの方

ロンドン在住の通訳者 平松里英のウェブサイトをご覧ください。

(私が制作・運営しています。ウェブサイトの翻訳・共同制作のご相談も受付中。)

ボイスサンプル、ビデオサンプルも視聴できます。

対応地域はEMEA地域。イギリス国内、ヨーロッパだけでなく「欧州の裏庭」ともいわれるアフリカ諸国、中東へもイギリスから飛行機で7~8時間ほどですので効率的です。

ご連絡をお待ちしています!

平松里英にメールする

ページの右下、チャットで質問にお答えします。

 

【お知らせ】

『通翻Web』にて連載中!

くわしくは「通訳者通信fromロンドン」をご覧ください!

 

イギリス、アイルランドからヨーロッパ全域へ出張して通訳しています。こちらのカテゴリーでは世界の動き、最近の世界のニュース・情報の中で使われている英語表現・時事英語について書いています。

記事は、時代の変化に合わせて、随時加筆したり改訂したりしています。

フォーカスグループインタビュー(FGI)の通訳 [2] 表現と通訳

FGI

FGI

ロンドン在住日英通訳者の平松里英(rielondon)です。

今回は 表現と通訳 について取り上げます。前回は通訳環境についてでした。

フォーカスグループ(グルイン)のワークシートで使う表現

「フォーカスグループ」あるいは「グルイン」のセッションの中でよく使われるワークシート。もともと日本語で書かれているものを、海外の対象者向けに現地の言語に訳されるのが普通です。このときポイントになるのが、日本語で表現されているニュアンスがターゲット言語でもそのまま、あるいはできるだけ近い感覚で伝わるかどうか。

商品のイメージを伝えるフレーズは、つまり商品のコピーであることが多い。コピーライティングされているので、日本語がかなり練られています。しかし、その効果は日本語だから通じるのであって、他言語に辞書的に置き換えても、ニュアンスは伝わりません。

100%、伝わることは「ない」と思った方がいいでしょう。

これがいわゆる「ロスト・イン・トランスレーション」です。

ではどうやって準備したらいいか。

事前に翻訳を依頼し、翻訳してもらったものはそのまま使わず、モデレーターとの事前打ち合わせの時間を使ってじっくりとすり合わせすることです。

たとえ日本なら誰でもわかる感覚でも、海外ではダイレクトには通じないことがあります。

その概念自体が存在しない、

その体験自体が存在しない、

その感覚自体なじみがない、

など、フォーカスグループ(グルイン)の依頼主の意図を理解してもらうことが思いのほか手こずることも。

おいしいコーヒーを飲みたいと思ったらカップを温めておくように、

収穫率の高いグルインを実現させるには、適切な準備こそが成功させるコツ。

通訳を入れて効果的に事前の意思疎通を図ることは適切な準備のひとつです。

そのためにも当日の打ち合わせ時間は十分に取り、通訳者を交えて、打ち合わせを行うことをお勧めします。では通訳なら誰でもいいのかというと、もちろんそうではありません。

同じプロでも、いろんな通訳者がいるからです。

フォーカスグループ(グルイン)では

  • 適任の通訳者を選ぶこと
  • 通訳が入ると2倍時間がかかることを覚えておく

この2点を押さえておくことが大切です。

適任の通訳者を選ぶには

第一に、現地のことばに詳しい人であること。つまり、ロンドンで行うグルインならロンドンの通訳者を使うこと。当たり前に聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。例えば、電話通訳だからとアメリカにいる通訳者やオーストラリアにいる通訳者につないでしまう会社もあります。英語の通訳者ならどこの国でも同じ、と手配する会社ですら、そういう思い違いをしているくらいなのですから。

二番目に、当該商品あるいはカテゴリーに関心がある人か、ある程度マーケティング分野に明るい人。

三番目に、ことばの温度を擦り合わせることを心得ている人。普段から日本語のコピーはもちろん、英語のコピー、とくに自分が住んでいる地域で目にするコピーに関心を持って触れている人。キャッチコピー、リードコピー、ボディコピーなど何でもいいのですが、表現やことばのリズムに対してアンテナが立っている人。 コピーライティングの心得があると話が早いのでいいですね。

また、表現のすり合わせでは、元の表現(起点言語)と英語の表現(目標言語)との温度色合いを近づけることのほかに、実際のグルインのやり取りの中で使う表現として適しているか、というのも忘れてはならないポイント。

通訳が入るミーティングの時間は2倍

もう一つ忘れてはならないのが、通訳が入るミーティングが時間を長めに見ておく必要があること。
グルインで使う最適な表現をじっくり、かつ効率的に話し合うなら、対面で逐次通訳が一番適しています。

逐次通訳の場合、双方の話し手と通訳が交互に話すため、実際の内容の2倍程度の時間がかかるのです。内容的には「30分あれば大丈夫かな」というようなミーティングなら1時間見ておく必要があります。

フォーカスグループ対象者の発言のなかの表現

グルインを通して意味だけ訳出していけばいいと考えるクライアントと、ことばもピックアップしているので英単語と日本語の意味と両方ほしい。できれば発言がネガティブなのかポジティブなのか、どちらかわからないので適当に応えているのか、そのあたりのニュアンスが分かるように訳してほしいとおっしゃるクライアントも。

アウトプットの方法は、ひとつにグルインと言っても、案件ごと、クライアントごとに異なるので、事前に話し合っておくといいでしょう。

フォーカスグループのセッション中の表現について

今回、日本語のこの単語(フレーズ)には英語ではこの単語(フレーズ)を当てはめる、というように何度も登場する表現や、キーとなる語やフレーズがある場合には、あらかじめ統一しておくと、グルイン実施のあとのまとめ作業や分析もしやすくなると思いますよ。

ご質問、コメント、そしてご相談も大歓迎です。コメント欄、お問い合わせページ 、またはTwitterからどうぞ。
この機会に、ぜひ読者登録してみてくださいね。

▶ 前の記事 2017年ダボス会議 中国は国家主席が初出席、ドイツは今年も欠席

▶ 関連記事 フォーカスグループインタビューの通訳[1]

 

イギリス、ヨーロッパ地域の現地通訳をお探しの方

ロンドン在住の通訳者 平松里英のウェブサイトRie.London をご覧ください。

(私が制作・運営しています。ウェブサイトの翻訳・共同制作のご相談も受付中。)

ボイスサンプル、ビデオサンプルも視聴できます。

対応地域はEMEA地域。イギリス国内、ヨーロッパだけでなく「欧州の裏庭」ともいわれるアフリカ諸国、中東へもイギリスから飛行機で7~8時間ほどですので効率的です。

ご連絡をお待ちしています!

平松里英にメールする

 

【お知らせ】

『通翻ジャーナルWeb』にて連載中!

くわしくは「通訳者通信fromロンドン~日本と違う?!イギリスの通訳事情」をご覧ください!

 

イギリス、アイルランドからヨーロッパ全域へ出張して通訳しています。こちらのカテゴリーでは色々と「通訳」という仕事について書いています。

※記事は、時代の変化に合わせて、随時加筆したり改訂したりしています。

フォーカスグループインタビュー(FGI)の通訳 [1] 通訳環境について

ロンドン在住日英通訳者の平松里英(rielondon)です。今回は、シリーズ第1弾—通訳と音量についてです。

フォーカスグループインタビュー とは

マーケティング調査の方法には、「定量調査(Quantitative Research)」と「定性調査(Qualitative Research)」があります。定量調査は、「量」。つまり明確な数値・量であらわされる定量データを集め分析するもの。定性調査は「質」。つまり、数値化できない個人の発言・行動を解釈し新しい理解やヒントにつながる「質的データ」を取る調査のことです。頭文字をとって「FGI」、または略して「グルイン」とも呼ばれます。

後者の「定性調査」の手法のひとつとして、フォーカスグループインタビュー があります。少人数の想定購入者からなる参加者グループに司会者(モデレーター)が進行しながらディスカッションを進めます。そこで繰り広げられる発言内容を分析するものです。

なぜ通訳が必要になるのか

フォーカスグループインタビュー でなぜ通訳者が必要になるかというと、対象者が依頼者(クライアント)のわからない言語を話す場合(非日本語話者)、つまり海外の想定購入者を相手に調査を行うとき、通訳が必要になります。この場合、所定の時間(1セッション2時間程度が多い)で約4~8人の複数の人が代わる代わる発言するので、通訳モードは同時通訳になり、同時通訳対応の設備が必要になります。(ユーザーインタビューなどは逐次通訳の場合もあります。)

フォーカスグループインタビューでの通訳環境の重要性

クライアント(企業)と同じ部屋(対象者+モデレーターのいる部屋とマジックミラーで隔てた反対側の部屋)で行うときと、別の部屋で通訳をする場合とがあり、通訳を取り巻く環境に関しては、主に以下の4つのパターンがあります。

同室/別室 通訳への音のインプット 通訳のアウトプット
〔1〕 同じ部屋 セッションのやり取りはヘッドフォンから 通訳の訳出は普通の声で
〔2〕 同じ部屋 セッションのやり取りはスピーカーから 通訳の訳出は耳元でウィスパリング
〔3〕 別々の部屋 セッションのやり取りはヘッドフォンから 通訳の訳はヘッドフォンから
〔4〕 別々の部屋 セッションのやり取りはヘッドフォンから 通訳の訳はスピーカーから

〔パターン1〕

同じ部屋の場合、よくあるのは対象者やモデレーターの声(セッションをやっている部屋からの音)は通訳者の耳にヘッドフォンから流れてきて、クライアントの人たちは通訳者の声をそのままマイクを通さずに聞くことが多いです。

〔パターン2〕

同じ部屋で、対象者やモデレーターの声(セッションをやっている部屋の音)はクライアントも通訳者もスピーカーから聞き、通訳者の訳出はクライアントの耳元でウィスパリング。

〔パターン3〕

別の部屋で、通訳者の訳をマイクで拾ってクライアントの部屋のスピーカーで流し、セッションの中での外国語でのやり取りはヘッドフォンで(クライアントのうち)聞きたい人は聞く。

〔パターン4〕

別の部屋で、クライアントの中で英語のままで分かる人が多い場合は、セッション(対象者とモデレーターの英語のやり取り)はスピーカーで流し、通訳の訳はヘッドフォンで通訳が必要な人だけ聞くというパターンもあります。

ベストパターンとワーストパターン

では、このなかでベストのパターンと最悪のパターンはどれでしょう。

ベストは〔1〕、そして最悪なのは〔2〕のパターンです。1・3・4は通訳者の耳にはヘッドフォンで音が送られてきますからインプットの条件は(ほぼ)同じです。では「なぜ1がベストか」というと、

  • 視界がクライアントと同じであること(別部屋=通訳部屋は狭く視界が悪いことが多い)、
  • クライアントとのセッション中のコミュニケーションが比較的はかりやすいから。

他方、最悪のパターンはどれかというと「2」で、その理由は、通訳者がインプットをクライアント全員と同室でステレオから聞かなければならないこと。

なぜそれが問題なのか。

クライアントはセッション中お互いに相談をしたり、談笑したりすることもあります。それだけではありません。ドアの開閉、その他にも様々な雑音が発生します。

ノイズの発生頻度(リスク)が一番高いので、通訳作業が妨害されるのです。

しかも、インプットを確保するため、また、通訳が必要なの人がクライアントのなかの一部の人であることもあり、アウトプットはウィスパリングになります。

このとき、

通訳者は黙って聞いているのとは違い、自分の声が自分の耳に聞こえている状態です。

どういうことかというと、

外から耳に入ってくる自分の声、それプラス、骨伝導で耳に入ってくる自分の声が邪魔になるのです。訳さなければならない音声(話者の発話)を聴くことに集中したい。それにも拘わらず、不可避に自分の声という邪魔が入ってきます。

聴きながら話しているためです。ステレオからの音が黙っているときのようにはきれいにきこえません。

これが、聞いているだけの作業と、同時通訳の作業の決定的な違いです。

このように、同時通訳をするときは常に邪魔が入るので、できる限りノイズを減らし、元発言のインプットを確保するようにしなければなりません。

大事なことなのでもう一度、言い換えてみます。

同時通訳作業では、インプットアウトプットの音が干渉してしまうのです。

当然、作業の大きな妨げとなります。

だからこそ「2」のパターンには無理があるのです。

通訳者は、ステレオから流れてくる音(英語)を頼りにしながら、「生耳」(=ヘッドフォンからではない)で聴き、クライアントにウィスパリング(アウトプット)しますが、ステレオから流れてくる音のボリューム(インプット)よりも通訳者の声(アウトプット)のボリュームが大きくないとクライアントには聞こえないので、ある程度大きな声を出さなければなりません。同じ空間で、です。

しかし、上で説明したように、大きな声を出すと自分の声が邪魔になって、インプットがとても聞こえづらい

そして、「2」の場合、ヘッドフォンで別ルートから音源を取る、つまりインプットをバイパスする、ということができません。インプットが確保できない。

部屋の中で歩くときの靴の音やドアの開け閉めの音、クライアント同士の話し声や、冷蔵庫の開け閉め資料(紙)をめくる音など様々なノイズがたくさん!

このなかで行うのですから、ノイズの三重苦になってしまうのです。

このようなことから、せっかくの対象者のレスポンスが十分に拾えなくなってしまうので、この方法はお勧めできないというわけです。

通訳環境:最重要ポイント

どのパターンにも共通して重要な要素は音量です。そのことを音響システムを調整しているテクニシャン(技術者)が心得ていて、スタジオ設計にも反映されていればいいのですが、音質・音量の調整がほとんどできないスタジオもあるので場所を選択する際に気を付ける必要があります。

発言が重ならないよう、一人一人順番に話してくれるよう、どれだけ参加者に注意を促しても、発言が重ってしまうことが多い。これは他の通訳の仕事と大きく異なる点です。

通訳者は音量を上げたり下げたりして、条件を調整するしかありません。

また、自然な発言、自由な発言を集めることが大切になりますから、発言が重ならないようにモデレーターに何度も注意させれば、話の流れを遮ったり、場の雰囲気をぎくしゃくさせてしまいません。これでは、そもそもの目的が損なわれてしまいます。

やはり、フォーカスグループインタビューでは、音量コントロールが通訳側でできる、音調整能力の高いスタジオを選択することが重要なポイントです。

最後までお読みいただきありがとうございます。今回の記事はいかがでしたか。ご質問、コメント、そしてご相談も大歓迎です。コメント欄、お問い合わせページ、またはTwitter からどうぞ。

この機会に、ぜひ読者登録してみてくださいね。

イギリス、ヨーロッパ地域の現地通訳をお探しの方

ロンドン在住の通訳者 平松里英のウェブサイトRie.Londonをご覧ください。

(私が制作・運営しています。ウェブサイトの翻訳・共同制作のご相談も受付中。)

ボイスサンプル、ビデオサンプルも視聴できます。

 

イギリス、アイルランドからヨーロッパ全域へ出張して通訳しています。

こちらのカテゴリーでは色々と「通訳」という仕事について書いています。

対応地域はEMEA地域。イギリス国内、ヨーロッパだけでなく「欧州の裏庭」ともいわれるアフリカ諸国、中東へもイギリスから飛行機で7~8時間ほどですので効率的です。

ご連絡をお待ちしています!

平松里英にメールする

ページの右下、チャットで質問にお答えします。

※記事は、時代の変化に合わせて、随時加筆したり改訂したりしています。

ヴィーガン(Vegan)のための抹茶ラテ

大学院の後輩が授業が全部終わったので帰国前に会いましょうということで、Victoriaのカフェで落ち合いました。
ここはお気に入りのお店のひとつで、WiFiもあり、ボックス席もあるのでちょっとした打ち合わせなどにも使えて重宝しています。
ここのところ他の場所へ行く機会が多かったのでじつはちっとご無沙汰していました。Vegan対応の抹茶ラテ、アーモンドミルクと豆乳から選べるというので、アーモンドミルクを注文。
ところが、人気だったらしくアーモンドミルクは売り切れだというので豆乳にしたのですが、Veganはかなりに浸透してるんですね。最近娘が「お腹に優しくて調子がいいの」というPaleoダイエット。
最初は「それって水着の上からまとうやつじゃないの?」と思ってしまったんだけどけっこう流行ってるんですね。炭水化物がないとか言ってたけど、Irritable Bowel Syndrome (過敏性大腸症候群)の人なんかには、こういうのがいいのかな?
最近、娘のリクエストでPaleoのシリアルのボックスが増殖中。こんどこっそり試してみようかな…怒られるかな。
それにしても、炭水化物の入ってないシリアル=穀物って、可能なんだろうか?

半年ぶりのグリニッチ

グリニッチはお気に入りで、年に何回か行きます。
今回は、グリニッチは何年も行っていないというともだちと待ち合わせ、行きは Embankment から出ている River Bus を利用。
11時ごろの便で出ましたが、ラッキーなことに、乗り場で並んだとき先頭だったので、船でも先頭でした。英国旗の右側に写っているのが国会議事堂。この写真には写っていないけれど、左側には「ロンドンアイ(観覧車)」があります。
River Boats にはいろいろとオプションがあって、民間の会社が運営しているものとTfR(Transport for London) がやっているものとあって、ツアー(River Tour)など もあるけれどRiver Bus で、観光案内なしでよければ、あとチケットの購入を Oyster card (SUICAのようなカード)を使えば割引がきいて £6.50
だったかな?正規料金よりも70pくらい安かったと思います(2015年4月現在)。
Greenwich pier に着いてから、Greenwich market でお昼ご飯を購入。ほんとは今日はハイキングのように、Observatory(子午線があるあたり)まで歩いて上ろうと思っていたけれど、天気が昨日のぽかぽかとは打って変わって、肌寒かったので、無理はせずに、Maritime museum、The Queen’s House、Cutty Sark という室内をメインにめぐることにしました。
そして、そのあと、Greenwich brewery で地ビール(エール)を堪能。わたしはペールエールで、
友人は下のレンガの壁がの写真、黒板に描かれている(見づらいかな?)Beer paddle (櫂=かい にビールを数種類選んだものが乗ってくる £7.50)を注文。

ゆっくりと話しながら堪能した後、ランチをゲットしたマーケットに戻り、夕飯(テイクアウト)を買い、ブラジルのチュロス(キャラメルとチョコレートのハーフアンドハーフをシナモンシュガーでコーティング)を買い食いして今日は締め。£2.50 ↓
DLRでBank/Monumentまで外の景色を眺めながら帰りました。今度は、暖かくて天気がよかったら、お弁当を持って丘の上までピクニックに行きたいと思います!お金は使っても貯めたり、また稼いだりして、がんばり次第で戻ってくるけど、時間は貯めることも、取り戻すこともできない。
やっぱり、そのときそのとき、季節やその年を「生きる」体験することを忘れないようにしたいですね。Carpe diem – seize the day – この年になって、ますますそう感じる今日この頃です。

わんこと遠出 ハムステッドヒース

春らしくなってきてうれしい^^暖かくなってきて、ほんとに気持ちよかった~。北ロンドンの Hamstead Heath までわんこと一緒に地下鉄を乗り継いで行ったら、小一時間かかった。

わんこを電車(地下鉄)に乗せるのは初めて、だったのでちょっとハラハラした。帰りはエスカレーターはビビッて止まってしまい、うしろの人がせき止められてしまって、焦ったけど、娘がササッとだっこして乗ってくれたので難を逃れました(ほっ)。

とにかく、やっぱり、お天気がいいし、気分転換に日ごろとは違うことをするのってすごくいいですね。大切。East Fincheley のTube Station からはちょっとあるので、同業者&わんこつながりの友だちが迎えに来てくれて、みんなでわいわい3時間くらいの長~いお散歩。ゆーったりと、ロンドンの中心でオフィス街に囲まれて仕事をしている日常・喧騒から離れることができました^^

ハムステッドヒースはわんこフレンドリーな公園(いわゆる「公園」というよりもっと広大で、ほんと自然の中!って感じですよ。自然公園?)とにかく、犬の数もすごかった!何百匹(頭)もいました!

シバちゃんのイベントがあったのか、柴犬がどうだろう、50頭くらいいたかな。。。茶、タン、白など、いろいろなシバちゃんがうわ~ってたくさんいて、一瞬、日本にいるような気になって、にわかに懐かしい気分になりました。

『ノッティングヒルの恋人』のロケ地だったというのもうなずけます。これだけオープンな場所だと、風があるので、そよ風なんて気持ちいいけれど、水辺もたくさんあり、その近辺はやっぱりそれなりに風があるので、上着はそれを考慮して用意していったほうがいいかな、とおもいました。

ロンドンの地下鉄やバス、オーバーグラウンド(鉄道のこと)は犬を乗せてもOKなので、車がなくても、オフリードで走り回らせることができる絶好のチャンスなので、わんこオーナーさんにはお勧めです。

これからの季節、日はどんどん長くなるし、陽気もよくなって、わんこも飼い主もよいエクササイズになって、リラックス。ストレスから開放され、心のデトックスになりますよ。

また行こうっと♪

Older posts

© 2018 I INTERPRET LONDON

Theme by Anders NorenUp ↑