I INTERPRET LONDON

ロンドン在住の通訳者平松里英のブログ

Tag: Interpreting

国際女性デー Vol.1

ロンドン在住通訳者の平松里英(rielondon)です。

3月8日は国際女性デー。

カナダのトルドー首相 ソフィー夫人SNS炎上

カナダのトルドー首相夫人がインスタグラムで人々に訴えた内容が、炎上したそうです。
ソフィー夫人のインスタグラムの当該投稿リンク

国際女性デーは、女性を支えてくれる自分の「同盟相手」の男性も祝福しよう、
つまり、ジェンダー平等を一緒に推し進めてくれる男子、男性も取り上げるべきだ、
ということのようです。

以下、カナダのガーディアン紙(英語記事)

彼女の提言については、意見が二つに割れています。
インスタグラムの彼女の投稿に寄せられたコメントのいくつかを挙げてみます。

“Embarrassing. She doesn’t get it.”
恥ずかしい。この人、全然わかってない。

 

“I am not a woman unless I have a man. Thank you for reminding me.”
男がいなければ私は女じゃないってことね。思い出させてくれてありがとう。[皮肉]

 

“Celebrating #iwd2017 by celebrating men. Nope, try again.”
男性を祝福して♯iwd2017(国際女性デー)を祝いましょう。ありえない。はい、やり直し。

 

“She wants IWD to be a celebration of Justin Trudeau. She should be celebrating the powerful women in her life!”
IWDを夫、ジャスティン・トルドーを祝う日にしたいだけでしょ。[そうじゃなくて]自分の人生で出会ったり、関わったりしたパワフルな女性たちを祝福するべきでしょ!

私は、基本的に、ソフィー夫人の考えに賛成です。

ただ、国際女性デーには、女性を称えるべきだという主張は、たしかに一理あると思います。

そもそも「国際女性デー」って何?

ここで、国際女性デーって、どういうものなのか、
どういう日なのか、見てみましょう。

国連女性機関の日本事務所のウェブサイトによると

国際女性デー(IWD)とは

国連は、1975年の国際婦人年において、3月8日を国際女性デー(IWD)として定めました。そして2年後の1977年12月、国連総会は、加盟国がそれぞれの歴史と伝統に応じて、1年のうち1日を女性の権利及び国際平和のための国連の日と宣言できる決議を採択しました。

国際女性デーは、20世紀への変わり目に、北アメリカおよびヨーロッパ各地での労働運動から始まりました。このような初期の時代から、国際女性デーは、先進国及び途上国ともに、女性のための新しいグローバルな姿をとりあげてきました。この成長し続ける国際的女性運動は、4つの世界的な国連の女性会議によって強化されています。 そして、女性の権利、及び政治・経済活動の場への女性参画をサポートする結集の場を記念する国際女性デーを支援しています。

国際女性デーは、これまでの前進を振り返り、変革を呼びかけ、国や社会の歴史上すばらしい役割を果たした一般の女性たちの勇気と決断を称える日です。

とあります。

国際女性デーの起源

では、国際女性デーの起源は?というと、アメリカやヨーロッパ各地で起きた徐栄による労働運動です。
1900年代のアメリカのニューヨークで服飾工場の女性労働者が起こした抗議運動や、
イギリスで起きた女性参政権(ちなみに参政権は Suffrage)運動など。

これら、女性による一連の社会運動や抗議デモ、その不屈の精神を称え、
同時に、未だ被害者となる女性が後を絶たないことに、真剣に思いを馳せる日なのです。

イギリス女性参政権論者「サフラジェット」

イギリスの女性参政権を訴え戦ったメンバー(闘士たち)はSuffragetteと呼ばれました。

ちなみに、2015年にはそのままの名称 “Suffragette” で映画になりましたね。
(邦題『未来を花束にして』) ←まったく「婦人参政権論者」ということが伝わってこないタイトル(悩)

  • 映画 “Suffragette” 公式予告 YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=056FI2Pq9RY)

ハンガーストライキなど、壮絶な抵抗運動を続け、
イギリスで婦人参政権が認められたのは1918年。

イギリス|女性だけじゃない、男性にも参政権がなかった。

1918年の選挙法改正。
この時、初めてイギリスで普通選挙制が実現したのです。

21歳以上の男子と30歳以上の女性に選挙権が認められました
つまり、これまではイギリスには普通選挙制がなかったということです。

Before 1918, the vote was restricted not simply by sex but also by property qualifications.
1918年までは投票は制によって制限されるだけでなく、財産資格によっても制限されていた。

出典:“Why has everyone forgotten about male suffrage?” (どうして誰も男性の参政権について覚えていないのだろうか?)

婦人参政権と聞くと 男性にはもともと参政権があった かのように思ってしまいますが、そうではありません。

女性だけでなく、男性も限られた人(資産家)しか、選挙権が与えられていなかったのです。

 

ところで、

世界で初めて婦人参政権を認めた国はどこでしょう?

 

 

 

それは、アメリカでも、イギリスでもなく、

ニュージーランド。

 

ニュージーランドでは、1893年に女性参政権を実現。

イギリスで普通選挙制が認められる25年前。

つまり、四半世紀も前に、すでに、

遠く離れた南半球の島国、ニュージーランドには女性に選挙権があった!

 

同じ島国でも、ジェンダーにおける進歩が随分と違いますな(ため息)。

 

そこに裏打ちされているケイト・シェパードの精神

All that separates, whether of race, class, creed, or sex, is inhuman, and must be overcome.
道徳心の向上には人種、階級、信条、性別による分離を克服しなければならない。

 

すばらしい信念ではありませんか!

 

アメリカ、そして欧州でもポピュリズムが台頭してきて、

大衆迎合主義、右傾化、孤立主義、分離…

 

これまでの価値観や戦いに逆行するような動きをバッサリと切り捨てるこの考え方。

いいねぇ!ああ、スッキリ。

 

イングランドはリバプール出身のケイト・シェパード。

彼女の女性参政権運動の指導の下、
何度も議会に請願書を提出した末、1893年に可決されたのです。

こういった土壌があるからでしょうか。
男女の賃金格差は、アメリカよりも、ニュージーランドのほうが小さいのです。

 

ちなみに、

日本は世界ワースト3入り(3位)。
女性が管理職に占める割合は先進国中(ここではG7)、堂々の最下位

出典:Global Gender Gap Report 2016(世界経済フォーラム2016)

 

でも、悪口(笑)ばかりではありませんよw

先日、とても励みになる素晴らしい発言を発見。

世の中の半分は女性なのに、マネジメント層は男性ばかり。

優秀な人は男女を問わず優秀。これでは片翼しか使わずに飛行しているようなもの。

企業が成長できるわけがない。

 

ポイントはある。1つは、トップがはっきりコミットする。さらに数字でコミットすること。登用は上からやる。下級の管理職から細々とやるのではなく、上級管理職を早く女性にすれば、あとは早い。

これ、カルビーの松本社長のコメントです。

 

私から見たら、当たり前であるべき、合理的で、シンプルな話なのですが、

なぜ、こんなに男女参画だ、ジェンダー平等だというと、難しいのでしょうかね。

 

男性にとことん不都合な事でもあるんでしょうか…?

 

そういえば、うちは夕飯はほぼ毎日夫が作りますし、掃除も洗濯もやります。

(難しいことでもあるまいし、こんなことを記述しているのが、馬鹿らしい…)

「家事ができる夫の方が離婚率が高いらしい、なんでかな。」

と言っていたので、お互いが独立しているから別れる時も迷いが減るのよ、きっと。

夫が家事ができるのが悪いのではなくて、お互いが共依存度が低い証拠でしょう?と。

夫が家事ができる、そして実際に家事を負担する。

↑気が向いたときだけということも大いにあり得るので「できること」と実際に「やる」かどうかは別。

これは、

悪いことではなくて、良いことです。

大人ですからね。

 

お互いがしっかり自立して、尚且つ、支えあったり補い合えるほうが、

お互いに頼りあって、共倒れしてしまうより良いと思います。

 

名古屋の国際女性デー(IWD)イベント参加(昔)

考えてみると、イギリスに移って来てから、
つまり、もう10年もこの日を記念する活動やイベントには参加していないことになります。

日本にいた頃、
アイルランド留学よりも前ですから、20年近く前になるのですが、
地元の名古屋で、国際女性デーの活動に参加していた時期がありました。

その頃に仲良くしていた近所のイギリス人の友だちに誘われ、
集会に行ったのがきっかけでした。

私が参加した国際女性デーの活動。

そこではオーストラリア人女性のイベントのリーダー、
日本人の中心的役割を担っていた女性たちに、
アメリカ人の女性留学生や英語教師の面々など。

当日は、フレンドリーなパレードもしました。

詳しくは後日、Vol.2、Vol.3に続きます。

(つづく)

 

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Voice 02: 通訳者と発声とウィスパリングの関係

 

ロンドン在住日英通訳者の平松里英(rielondon)です。

 

今日は発声について

通訳における発声のポイントは、

「自然な、美しい声を、豊かに、スムーズに出すこと。」

 

朗々と、大きな声

を出すことよりも、

 

自然な声を

美しく

ゆたかに

なめらかに

出すこと。

 

では、そもそも発声とは何でしょう?

 

硬起声と軟起声

発声には軟起声と硬起声の二種類あります。

 

軟起声は、のどが開いた状態で、スムーズに自然に出る声。

声帯が中央にそっと寄ってきて合わさる感じです。

 

その反対に、硬起声は、声帯を強くぶつかるように合わせて、

声の出だしに、強いアタックを使うときは硬起声です。

 

通訳者は声を多用する(話者 全員分 しゃべる!)仕事で、常にのどを酷使しています。

硬起声は声帯への負担が大きく、つねに声を使う仕事をしている通訳者にとっては大敵!

通訳者にとって、声をサステナブルに使うこと。

大事な道具を持続可能な使い方をしているかどうか。

これは死活問題です。

 

硬起声になりがちな人は、

長期的に見ると、声帯ポリープや結節など、問題が発生しやすくなるため、

軟起声を心がけ、硬起声をやめるよう、注意しなければなりません。

 

声帯と呼吸

まず、声はのどや口だけで出すものではないということ。

いうなれば、上半身全体で出すものなので、精神的に緊張していたり、

体が硬直したりしていると、よい声は出にくいのです。

 

また、首筋や背中など、どこかに無意識に力が入ってしまう体勢(姿勢)もNG。

前かがみ、逆に、後ろにそっくり返り気味の姿勢では、ゆったりとした声は出にくいです。

 

心身ともにほぐすこと。この筋肉も含めて、リラックスした状態をつくる。

 

このことは、首や肩、背中だけでなく、顔の表情筋にも当てはまります。

しかめっ面やこわばった表情をしていると、それが体全体に伝わり、

声を出すときにも、声帯やそのほかの筋肉がこわばってしまうのです。

 

通訳者はとくに声を意識しなければならない

通訳者の声とは、聞き手にとって長時間にわたり耳にする声です。

そして、その聞き方も、なんとなく耳にしているというより、

ヘッドフォンやイヤホンを使い、集中して聴いていることが多い声です。

 

だから、長いあいだ聞いていても、聞き手にとって疲れない声であることが大切です。

 

自分の声の欠点にはなかなか気づかない

声の質はもちろん、声の出し方トーン調子…。

 

自分の声のクセは、自分一人では、なかなか気づけません。

 

常に耳を鍛え、自分の耳で自分の声を客観的に評価できるように

同時に、自分の声が他の人にどう聞こえているかどう響いているか、を常に考えること。

 

ウィスパリングのささやき声

ロシア語の会議通訳者 Cyril Flerov 氏も自身のブログの記事  “Whispering in Your Ear is Bad Idea!”のなかで、はっきりと提言しています。

 

“your voice gets tired extremely quickly, whispering is very damaging to the vocal folds

すぐに声が疲れてしまい、ウィスパリングは声帯へのダメージも大きい)

 

ないしょ話のときに使うヒソヒソとした「ささやき声」は、

のどを震わせず、それでも声門から息は出ているので、

ボリュームが小さく、一見やさしそうなイメージですが、

 

声帯への負担は大。

 

のどを震わせず、聞こえにくい分、余計に声帯に力をかけているのです。

通訳の仕事のなかでウィスパリング※ をするよう依頼されることがあります。

※シュショタージュ(Chuchotage=フランス語でささやくの意)ともいいます。

 

とくに、会議・ミーティングで発言の言語がわからない人が1人や2人など、

少人数のときに、この手法がよく使われますが、気を付けなくてはいけません。

 

だからといって、リクエストに対して、

「のどに悪いのでウィスパリングはお断りします」

とは言えませんから、

 

のどに負担がかからないように、ささやき声ではなく、小声で行うようにするということです。

小声、つまり、ちゃんと声を出しているけれども、ボリュームは小さく。

 

意識してみて下さいね。

 

 

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▶ 関連記事 母音の無声化 (キ・ク・シ・ス・チ・ツ・ピ・プ・ヒ・フ・シュ)

 

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Photo: https://aidanews.com/2014/06/19/whisper-voice-makes-the-muscle-hypertonia/

国連事務総長 就任「2017年を平和の年に」演説

Appeal for Peace 01.01.2017

ロンドン在住日英通訳者の平松里英(rielondon)です。今回は 国連事務総長正式就任2017年年初の演説 を取り上げます。「気になる英語表現」は最後にあります。

 

【今日取り上げるニュースメディア】

UN News Centre New UN chief Guterres pledges to make 2017 ‘a year for peace’

【ざっくりサマリー】

✔ 新 国連事務総長にポルトガルのグテーレス氏が正式に就任

✔ 年初の演説で「2017年を平和の年に」と訴え

✔ 次期 国連事務総長に決まったのは2016年10月13日

✔ 任期は5年後の2021年12月31日まで

✔ グテーレス氏の略歴

2017年1月1日 新 国連 事務総長の正式就任

2017年元旦、第9代 国際連合事務総長にアントニオ・グテーレス(António Guterres)氏が国連総会(the UN General Assembly)にて正式に就任しました。

「これまでは安全保障理事会が候補を一人に絞り、この唯一の候補のみが国連総会に提案されていました。安全保障理事会でのいわゆる密室の協議で事実上決定されていたため、選出プロセスの閉鎖性に批判が集まっていました。」(http://www.unic.or.jp/news_press/info/18566/)

これを受け、2016年4月には国連初の試みとなる公開面談が行われ、10月に初めに国連安全保障理事会(the UN Security Council)が国連総会に勧告し、就任が確定しました。

そして、就任宣誓式(swearing in – ceremony)が12月12日でした。

激震の2016年、2017年は?

「一年の計は元旦にあり」

暗澹たる、そして激動・激震の2016年が幕を閉じ、続く新年の幕開けでの交代だけあって、

2017年を方向づける幸先の良い出発だったと、後で振り返れるよう願わずにはいられません。

国連事務総長の任期

さて、グテーレス新事務総長(Secretary-General)は1995年から2002年までポルトガルの首相を務め、

2005年から2015年までは国連難民高等弁務官(the UN High Commissioner for Refugees )として様々な活動に従事。国連事務総長の任期は5年なので、2021年末までということになります。

なお、第8代の国連事務総長 藩基文氏の任期は2007年から2016年までの10年間(つまり5年任期を2期)でした。

これまでは、近年では、第6代事務総長 エジプトのブトロス・ブトロス-ガーリ氏が、アメリカが再選に際し拒否権を発動したため5年で退任した以外は、第7代 コフィ・アナン氏、第5代 ハビエル・ペレス・デクエヤル氏も2期(10年)務めています。

事務総長による新年のスピーチ全文

新事務総長は新年の抱負として、“Peace must be our goal and our guide” と述べ、2017年を平和に向けた年とするようすべての市民、各国政府、指導者たち(all citizens, governments and leaders)に向けて様々な相違を超える努力をするよう(to strive to overcome differences)訴えました。

2017年1月1日 国連事務総長スピーチ 平和への訴え -全文-(Appeal for peace from UN Secretary-General Antonio Guterres)

他メディアの関連ニュース

2016年10月13日のCNNニュース「国連がポルトガルのアントニオ・グテーレス氏を次期事務総長承認 (UN approves Portugal’s Antonio Guterres as next secretary-general)

では、10月5日に逃げ切りの最有力候補as the Security Council’s runaway favorite)となっていた氏を193加盟国の全会一致で次期事務総長となることを承認したと報道されています。

どんな国連事務総長になるでしょうか。

2016年10月6日のBBCニュース 「グテーレス氏とは誰なのか。次期国連事務総長の人物像 (Who is Antonio Guterres? Meet the UN’s next secretary-general)」では、

グテーレス氏は副事務総長に女性を起用すると予想されます。「男女共同参画」の国連における重要性を説いてきたからです。

He is widely expected to select a woman as deputy secretary-general, having said that “gender parity” is crucial at the United Nations.

とあり、

ヨーロッパ外交評議会の研究員、リチャード・ゴワン氏によれば、内部関係者はポルトガル出身のグテーレス氏が「国連に必要な『尻叩き』をしてくれるのではないか」と話している、とのこと。

Richard Gowan, a UN expert at the European Council on Foreign Relations, said insiders believed Mr Guterres, from Portugal, “could give the UN the kind of kick up the backside it needs”.

グテーレス氏の背景

グテーレス氏は、50年余り続いたポルトガルの独裁政治が終焉した1974年に社会党に入党し、間もなく専従の政治家になりました。[それ以前は大学で電気工学と物理を勉強し助教授をしていた。]

He joined the Socialist party in 1974 – the same year five decades of dictatorship came to an end in Portugal – and soon became a full-time politician.

 

1995年には社会党の書記長に就任、のちに首相に就任し2002年まで務めました。

In 1995, three years after being elected the Socialist Party’s secretary-general, he was voted in as prime minister, a position he held until 2002.

 

今回の国連事務総長の指名前のUNHCR(国連難民高等弁務官)としての経験が今回の人事への試金石(=意訳)となりました。

Prior to his nomination, he said that his work at the UNHCR had been excellent preparation for a secretary-general.

第9代 国連事務総長の役割

事務総長の役割(The role of the Secretary-General)」に、以下のように記されています(抜粋)。

立場が対等な外交家であり唱道者であり、公務員であり、CEOである、事務総長は国連の理想の早朝であり世界の人々、なかでも特に貧しく弱い人々の利害における代弁者である。

Equal parts diplomat and advocate, civil servant and CEO, the Secretary-General is a symbol of United Nations ideals and a spokesman for the interests of the world’s peoples, in particular the poor and vulnerable among them.

 

《注目の英語表現》

  • The UN Security Council  国連安全保障理事会
  • The UN General Assembly  国連総会
  • gender parity  男女同権、男女共同参画
  • at the helm of the United Nations  国連の舵取り役に当たり
  • civilians are pounded with deadly force  市民が致死性の高い武力で猛攻撃を受けている
  • forced from their homes, dispossessed and destitute  家を追われ、貧窮しており
  • fueling cycles of mistrust and fear that can last for generations  不信と不安の循環のエネルギーとなって何世代nにも続く可能性がある
  • peace must be our goal and our guide  平和が私たちの目標であり、手引きでなくてはならない
  • I appeal to you all  懇願する(切に訴える)
  • equal parts diplomat and advocate  立場が対等な外交家であり唱道者
  • the poor and vulnerable  貧しく弱い立場にある人々

 

今年最初の記事は1月1日のグテーレス氏のスピーチの中から、次のことばで締めくくろうと思います。

それではまた!

 

“all that we strive for as a human family […] depends on peace.

人類 として私たちが尽力することのすべては平和にかかっています。

But peace depends on us.”

ところが、平和は私たちにかかっているのです。

 

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▶ 関連記事 国際連合広報センター「この人に聞く:次期国連事務総長に任命されたアントニオ・グテーレス氏」

 

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カテゴリー:世界の動きと英語

司法・法廷通訳 とオフサイドルール Legal / CourtInterpreting in UK and the Offside Rule

「女はオフサイドを理解できない。」
“Women don’t understand the offside rule.”

このフレーズ、英語でも日本語でも、お互いの訳ではなくて存在するらしい。
聞いたこと(あるいは、言われたこと!)ありますか?サッカーのルールの中にある、「オフサイド」というルールの話。
     Have you ever heard this sentence, or have you perhaps been told this?
The offside rule is the dividing point between women that are not big football enthusiasts and men who are footy lovers.

今日は、司法システムとサッカーの共通点。ルールの話。
This time I would like to discuss one thing in common between the legal system and football: the rules.

イギリスで通訳をしていて、これまでの経験では、刑事事件の案件よりも民事事件のほうが案件としては多いのだけれど、それでも刑事事件の通訳を受けることがあります。
     As regards legal or court interpreting, the most of assignments that I have been involved have been civil cases, however, I’ve received requests to take on criminal cases and some of them being to do with the police.

法廷通訳や警察関係の通訳は、イギリスではNational Registerといわれる全国登録制度がある。これに登録していなければこういう仕事が請けられないかというと、そういうことではない。
     I’ve never been on the National Register, as it is just not realistic as exams for that aren’t available in my language pair. Having said that, from time to time, I receive enquiries if I can take on court/legal interpreting assignments.

ただ、当局としては、登録を義務付けたいものの、資格試験があり、私がCommunity Languagesの通訳者だったら、費用が安くないためやすやすと受験することはできないだろうし、それに希少言語では第一、通訳者を見つけること自体が困難であったりして、なかなか彼らの思うようなやり方で回ってはいない。それが現状。
     I imagine, the authority would like to make such qualification compulsory for all the interpreters to embark on Court assignments, an yet I can easily imagine it to be extremely difficult to impose such condition on every interpreter, because for one thing, it is already considered pricey among so many of such service providers,

それはともかく、イギリスに住む人がこういう案件のエンドクライアントになるわけですが、いつも思うことは、彼らは、たとえば20年以上住んでいて、英語は「わかる」のだが、トラブルで自力で自分を助けだせるほどではない。これを自覚していないときもある。自分ではコミュニケーションを図れているつもり。ただ、なぜか変なことになってしまった、というパターン。
     Keeping that thought aside, my end clients for such assignments are Japanese nationals living in the UK, namely in England (& Wales, because of the jurisdiction for my qualification) and I consciously and conscientiously do not accept legal interpreting assignments for other jurisdictions such as Scotland or Northern Ireland, and that is not because I have to travel far…!!
     Anyway, back to where I was, these people have lived in the country already for many years. It is understandable that locals assume these foreign nationals should speak good English, but the truth is they don’t. Not so many of them. What makes things worse is that they may not realise that themselves. They may think they are communicating well until somehow and somewhere it went wrong and a trivial thing ended up becoming big trouble, out of proportion

じつを言うと、彼らの英語力よりも、法廷や警察の「ルール」がわかっていないこととが、彼らを非常に不利な状態にしていると思う。この「ルール」とは、ここでは法律的な知識や、ましてや英語の文法知識を指しているわけではなくて、法廷に出たら法廷弁護士がどういった質問をするもので、彼らの役割が「とどのつまり」何なのか、とか、警察に呼び止められ、逮捕されるときはどういう順序で何が起きるのか、まったくわかっていない。
     Here’s what I think. I think where the problem lies is that their unfamiliarity, their ignorance of the ‘rules’ in legal circumstances. They do not know how the police work in this country, they don’t know how the legal system works in this country – despite the fact they have lived in the country for the longest time!

こうなってくると、自信のない人が多いはずです。そして、裁判所や警察署でのコミュニケーションで失敗してしまい、些細な(はずの)トラブルが思いもよらぬ大事に展開していくのは、小さなコミュニケーションの失敗の積み重ねだったりするということ。
     When the police have stopped them, it probably was the first experience in 20 years, and had not idea what was going to happen or what he or she was supposed to do or not do. And what did they do? They tried their own way trying to respond and sort things out, but this “own way” can vary, really vary. You’d be amazed how cultures are different from one another. Better yet, they’re probably not experts in cultural studies.

スポーツを例にしてみよう。サッカーをやろう!ということになったとする。サッカーのルールをまったく知らない人同士でプレーをする、試合をするのが無理なように、自分が逮捕されたのにその自覚がないとか。ここで断っておきたいのですが、「その自覚がない」と言ったのは、「警察に捕まった」というのはもちろんわかっているけれど、イギリスで逮捕が何を意味するか、どの時点で逮捕になったのか、逮捕されたら何が起きるのか、自分にどういった権利があり、どういう権利はないのか、質問しなければならないことは何か、というような、一連のことがほぼ瞬時に判断できるか、という意味です。
     Let’s take sports as an example. Imagine, someone suggested to play football. Would they know the rules? Probably, yes. Otherwise, it would be just silly. I am happy to be corrected but usually when people suggest to play football they know the rules.

     Just like so, police officers, court officials, lawyers – they all know the rules. What about these foreign nationals? Do they know these rules?

Of course, the same question stand for its own people, Britons. However, I shall not expand this discussion there, otherwise it would be impossible to make any point.

     Being ignorant of ‘rules’ may mean they are not fully aware when they have been or that they have been arrested. They are aware they have to stay with the police but that doesn’t mean they know what it entails. What happens when they are arrested, do they definitely know and understand the word ‘arrested’? Do they know their entitlements? Are you sure if they know by themselves and immediately what questions they should be asking the authority? – to be honest, I don’t think they do.

イギリスの法制度や警察システムは日本のそれとはかなり違いがあります。また、イギリス国内でも、England & WalesとScotland、Northern Irelandと管轄が分かれており、法律システムも同じではありません。
     Needless to say, the British legal system is very different from the Japanese legal system. Even in the UK, the legal systems among England & Wales, Scotland and Northern Ireland differ.

アメリカにある「ミランダ警告」はイギリスの「Caution」にあたるものですが、それは逮捕のときに警官が告知するという意味で「相当」するのであって、内容はけっして同じではありません。
     The Right to Remain Silent exist in Japan and similar but not the same as Miranda rights in the USA, where it is different from Caution in Britain. (Please note, I am not referring to Caution/Warning as penalty)

イギリス(この場合はEngland & Wales)で警察に逮捕されるとどうなるか、どういう権利があるか、拘留される期間について、など政府のサイトに説明してあります。
(こういった情報を、イギリスに着たらとりあえずは目を通しておくとよいとよいとはおもいます。)
ただし、ふつうはすべて英語で書かれています。こういうサイトへ行き着き、内容が過不足なく理解できる人たちであれば、そもそも上記のようなトラブルの被害者にはなりません。つまり、問題は英語力だけにあるわけではありません。
     There is useful information about legal system in the UK and can be found on the internet, easily, but the problem is that they are all in English. I know of them, I am sure there are many other people who know such websites and look up such information as necessary. However, there are again many people who do not know such websites exist, and even if someone tells them about those and they visit those pages, they may not understand, unfortunately. What’s more tragic is that they may not even realise they actually haven’t understood correctly!

そういう人たちは、日本人コミュニティのなかで暮らしていることも少なくないので、イギリスに住んでいるとは言っても、イギリスの公的事情についてとても明るいわけではないようです。「自己責任でしょ」と言ってしまえばそれまでですが、まあ、そう冷たいことは言わずに。
     It is easy to say “ignorance is no excuse in the eyes of the law.” – yes, true, but think like this. We are living in the modern age, multicultural society, contributing to each other and one another. Let’s be open. Let’s be inclusive. Let’s embrace this as an opportunity to expand our horizon, shall we?

民事裁判だと、イギリスの制度に慣れていない外国人の当事者を相手に、事前にWitness Trainingという「証人のための裁判所での心得研修」とも呼べるものが行われることがあります。これは、民間の法律事務所が、任意でもともと法律家でそういうサービスを提供している人に依頼して行われるものなので、刑事事件では慣例として行われてはいない。
     I have had an opportunity to interpret in Witness Training for civil case among large corporations. Unfortunately, I have never heard this sort of service is available for criminal cases, as I suppose it may be a lot to do with how much it would cost.  That doesn’t change that it is necessary. Perhaps, it doesn’t have to be the same one. If there are some webpages and videos available in their language AND they need to be told as they go to their embassy to register their residence – that’s my idea.

日本人だけでなく、いまや多くの外国人居住者を抱えるイギリス社会。そういった部分を埋める何かが必要だと思います。立場をひっくり返して、日本でも、どこの国でも、本来はこういうものが必要なんですよね。明日はわが身です。
Not only Japanese nationals, any foreign nationals who are going to live or have already been living in the country, needs access to such information and to familiarise themselves. It is essential to prevent unnecessary proceedings i.e. cost, time and work by preparing themselves. Thanks for reading.

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